徒然日記その280. 理系離れ-1 理系志望を減らす??スーパーサイエンスハイスクール (9/9)

 

とある公立高校(愛知県のトップ校の1つ)での特別講義。この高校は文部科学省からスーパーサイエンスハイスクールに指定されている。スーパーサイエンスハイスクールとは、文部科学省が科学技術や理科・数学教育を重点的に行う高校を指定する制度のことである。

スーパーサイエンスハイスクールの目的は

高等学校及び中高一貫教育校における理科・数学に重点を置いたカリキュラムの開発、大学や研究機関等との効果的な連携方策についての研究を推進し、将来有為な科学技術系人材の育成に資する

とされている。では、このスーパーサイエンスハイスクールでは何をやるのだろうか。その1つに「大学や研究機関等と連携し、生徒が大学で授業を受講、大学の教員や研究者が学校で授業を行うなど、関係機関等との連携方策を研究する。」というのがある。

つまり、大学の先生が高校に来てくれて授業(特別講義)をしてくれたりするわけだ。それで、とある高校にも来てくれたというわけ。来てくれてたは東海地方の国立大学の先生である。

で、その特別講義の内容である。いきなり量子力学のお話である。まだ「モル」の概念すら習っていない高校1年生が相手なのに、である。もちろん、話の仕方では高校一年生にも理解できて量子力学の世界に興味を持たせることは可能なのだけど、見せてもらった資料は、「あっちゃー」である。

特別講義に出席した生徒の大半は途中から居眠り。学力も知的好奇心も高い集団でもこうなるということは、やっぱり内容の方に問題があったとしか思えないのだ。これじゃあ、科学に興味を持つ前に、「科学ってわけわかんなくてつまんない」という高校生を増やしてしまっているではないか。

そもそも大学のスタッフは、高校理科の教科書にはどんなことが載っていてどんな風に授業で習っているかを知っているのだろうか。これは大学入試問題を見ていて感じることでもある。このことは文部科学省の役人にも聞いてみたい。こういうことを把握しないで「スーパーサイエンスハイスクール」もなにもあったもんじゃないだろう。


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