徒然日記その36. 最近の高校入試--愛知県複合選抜の問題点(3/13)

 

 今年度の愛知県高校入試も、明日(3/14)からの公立Bグループで終了である。今回は、この愛知県高校入試について考えてみたい。

 愛知県の公立高校---愛知県立か名古屋市立の高校---の入学試験は、平成元年から「複合選抜制」となった。公立高校をA,B2つのグループにわけ、2校受験が可能になる制度である。2校受験は良いと思うが、その2校の選択のの自由度は決して高くはない。これが問題だ。それぞれのグループがさらに1群と2群にわけてあるのだ。そして、この群の中でしか受験校を選べない(普通科の場合)。例えば、1群Aグループの旭丘高校を受験するなら2群Aグループの明和高校は受験できないのでだ。それで結局受験校選択は限られた組み合わせの中でしか行えない。通学のことを考えるとさらに選択の幅は狭まるのだ。その結果、受験校の組み合わせはパターン化して、1群・2群それぞれの中で、高校が難易度順に序列化する。これは共通一次試験(今のセンター試験)によって国公立大学が序列化したのとよく似ている。

 また、入試問題についても"問題"があると思っている。公立高校は共通の問題で入学試験が行われる。この問題が簡単すぎると思うのだ。いわゆるトップクラスの高校ではほとんど「満点勝負」なのだ。合・不合格の違いは、ケアレスミスによる「失点」で決まってしまう部分が大きい。これを学力試験といえるのか。それで、少しでも合格しやすいように中学校は内申点を操作したりする。確かに入試問題作成は大変な作業である(予備校が大学入試問題作成を請け負うくらいであるから)。しかし、ここらで入試問題のあり方を考え直してもよいのではないか。

 さらに、「定員割れ」の問題がある。なぜマスコミで報道されないのか疑問だが、いくつかの公立高校では定員割れが起こっているようだ(新聞に発表される倍率とは受験者数/募集定員、実際の倍率は入学者数/合格者数である)。

 年度によって、その高校の合格ラインが異常に低い場合がある。これは、ほとんどの場合は定員割れが原因だと私は思っている。定員割れすれば、結局受験した受験生は全員合格である。愛知県の複合選抜制度は「公立高校の方が私立高校よりも上なのだから、両方合格したら絶対に公立高校に入学する」という前提で成り立っている(と思う)。ところが最近はそうでもないのだ。つまり公立に合格しても入学しない者があるということだ。

 証拠はないが、こういう事例を聞いたことがある。いつも [受験者数/募集定員] の競争率が低い愛知県立N高校の事例である。この高校を第1志望とする受験生は第2志望に県立A高校を選ぶことが多い。まず通常の合格発表を行って入学手続きを行ったら、合格者全員が入学せずに定員割れが起こった。それならばN高校を第1志望として不合格になって第2志望のA高校に合格した者が繰り上げてN高校に入学を許可されるべきである。ところがA高校でもすでに入学手続きを終えてしまったので今さら通知できない。その結果、N高校にもA高校にも不合格となった者を繰り上げ合格させたというのだ。これが本当ならば複合選抜制度の根幹を揺るがす事件だと思うのだが。

 いやはや、もうすでに複合選抜制度は崩壊しつつあると思うのだが。行政の建前とか怠慢にはもう慣れてしまったが(これはこれで情けないことだ)、こと入試制度では、被害者は子供たちになるのだから見過ごせないのである。

 


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