徒然日記その96. 早期教育という名の人任せ? (4/23) 

 早期教育が過熱しているらしい。0歳から早期教育の教室に通い、フラッシュカードとやらでひらがな・カタカナから始まって国旗や標識、さらには英単語を暗記しているそうだ。一部の私立幼稚園でも同様。まさに詰め込み教育である。以前、「3つ子の魂」について書いたが、この「3つ子の魂」の考え方を支持する学説を紹介しよう。「3歳までの幼児に英語を学ばせると驚くほど習得する。しかし、生れ落ちて3歳までに幼子が自然と身につけるべき能力、周囲との距離の取り方、他を思いやる心は身につかず、失われた習得のチャンスは二度と訪れない。失うものが多すぎる。」

 子供は遊ぶのが仕事だと思う。幼児期はとくにそうだ。暗くなるまで泥んこになって走り回るのがよろしい。擦り傷・切り傷大いに結構。喧嘩だってすればよい。痛みを通して危険なことややっちゃいけないことを学ぶのだ。フラッシュカードなどの早期教育ツールは右脳を発達させると言われるが、外で遊びまわったって右脳は発達する。いや、遊びを通したほうがより発達すると思うのだが。閉じた環境で教材(ツール)に向かうのと外界で友達と走り回るのと、触れる情報量や感じるものの量はどちらが多いか明らかだ。

 さて、幼児の早期教育は得るものもあるが失うものがあまりにも多いのだが、この問題点以外に、もっと深刻な問題があると思う。それは、「親の人任せ」。親子でいっしょになって勉強するならまだよいのだが、なんでもかんでも人任せなのだ。習い事がよい例だ。習字,そろばん,水泳,ピアノ,英会話にXX式。全部とは言わないが少しくらい家庭でやれないものか。しつけだってそうだ。幼稚園や保育園に「XXしてくれ」「XXもやってくれ」「XXできるようにしてくれ」である。甲斐甲斐しく送り迎えをしたっていっしょに過ごす時間はとても少ないではないか。

 さらに、もう1つの問題点。みんながみんな習い事に通っていると、遊ぼうと思っても遊び相手がいないのだ。少子化で一人っ子が増えたのでこれは深刻な問題である。それで結局、友達を作るために習い事に通う羽目に陥るのだ。子供のほうが忙しいんじゃないかと思えるくらいスケジュールはいっぱいである。学費だって馬鹿にならない。だからお母さんたちは働きに出て学費を稼ぐ。そうなるとさらに親子の接する時間は少なくなって、赤の他人と過ごす時間のほうがずっと長くなる。もう悪循環である。

 「先取り学習」だとか「ライバルに先んじる」とか耳ざわりのよい言葉が飛び交っているが、少々先走っていたって、すべき時期にすべきことをしていなかったら結局は進んでいることにならないと思う。私だって3歳のころ親戚にもらった教材でアルファベット(大文字・小文字・筆記体にブロック体)全部を暗記していたらしいが、小学校入学時にはきれいさっぱり忘れていた(と、母親から聞かされたことがある)。学習塾の先取り学習もなんだかなあ、である。ただ、最近では学校できちんとやらないので先取りじゃなくなってきていることもまた問題なんだが。

 


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