塾の選びかた


 

いい塾を選ぶために

小学校高学年のお子さんを持つ親御さんなら、誰でも学習塾に対して多少の興味を持っておられることでしょう。まして中学入学を機に、お子さんを塾に入れたいと考えておられる親御さんにとって、どの塾を選ぶかは大きな問題だと思います。ここでは塾にはどんな種類があるのか、また、どんな塾を選べばよいのかを考えてみます。

加熱する塾通い

まず、塾通いの現状を見てみますと、小学生や中学生の塾通いはますます加熱しています。文部省と文化庁とが実施した全国規模の調査で把握されたいわゆる「通塾率」は、小学校高学年では、1980年代の後半にその比率が著しく上昇し、今や40%を越えました。中学生は、70年代はまだ3割台でしたが、80年代に入って4割台になり、90年代には5割を越えました。

これが大都市とその周辺となると、中学生7割、小学校高学年6割とも言われています。いまや塾通いは当然とも言えるのが実情です。

 

なぜ塾へ?

では塾通いがなぜこんなにも加熱しているのでしょうか。総務庁が小中学生自身に行った「学習塾に通う理由」の調査で見ますと、小学生(4〜6年生)では「親がすすめたから」という理由が第一位の選択ですが、中学生になると「成績を上げたいから」が66.5%と圧倒的に多くの子供たちによって選択されています。親の意識調査では、塾を理念的にまた積極的に肯定する人は少ないようですが、学校や受験の状況を考えると「やむを得ない」と思ったり、「子供が望むから」と行った理由で通塾を認めざるを得ないと言う結果になっています。

また、ある中学生対象の調査では、学校と塾とを比較した結果、勉強について「厳しい」「わかりやすい」「集中できる」のいずれの面でも、塾を選択する生徒が学校を選択する生徒をかなり大きく上回りました。さらに通塾の効果についての調査では、「勉強がよくわかるようになった」54.7%、「成績が上がった」38.9%の回答があります。

しかしプラス効果の比率が高いのは、勉強が「得意」な子供たちに限られ、「不得意」な子供たちではずっと低くなっているのです。つまり通塾は学力格差を解消するより、一層拡大していることもあるということに着目して下さい。ではどうすればよいのでしょうか?一口に塾と行っても、大きな塾から個人塾まで色々あります。要はご自分のお子さんにもっとも向いた塾を選ぶことが、学力向上につながるのです。だからこそ塾選びは大事であり、慎重に行うべきなのです。

 

塾の種類

まず塾を単純に大きく2つのタイプに分けると、進学塾と補習塾に分けられます。進学塾では受験に備えた勉強が行われ、進度は学校より早いのが普通です。補習塾は学校の勉強に合わせて、教科書が理解できるように進みます。

ところで、新聞などに折り込まれる塾のチラシを見てみますと、ほとんどの塾が進学塾と書かれています。たいていの子が高校へ進学する現在では、補習塾も進学塾と言えるのです。

では、規模で見てみましょう。

1.全国規模の大手塾。
2.地方塾でも地元に教場をたくさんもった大手塾。
3.教場が2,3カ所の中堅塾。
4.塾長一人だけの個人塾。

これに教え方を加えると、

5.50人以上の生徒を一度に教える塾。
6.20人程度で教える塾。
7.5人程度のグループ学習をする塾。
8.1対1で教える個人指導の塾。
9.集団であっても個別指導を行う塾。
10.CAI(パソコン)を利用した塾。
11.インターネットやファクシミリを利用して、通塾しない塾。

外からざっと見ただけでも以上のような違いがあります。

規模として多いのは3.の中堅塾で、教え方としては6.の20人程度の生徒を一つの教室で教えている塾が多いと言えます。ただ同じ20人でも、生徒の学力を揃えて教えている塾と、色々な学力の生徒を一度に教えている塾があります。この他に時間数(週何時間か)、教材(購入したものか、手作りか)、先生(専任か、アルバイトか)、生徒数(大人数か、少人数か)、設備(教室や黒板の広さ、机やいすの大きさ)といった点も違います。

更に塾長の考え方にもかなりの違いがあります。ある程度以上の学力を持った子を集め、より学力を伸ばそうと考える人、成績のいい子も悪い子も預かって、どんな子も伸ばしてやりたいと考えている人、できない子こそ見てやりたいと考えている人。このような違いだけでも、自分の子供にはどの塾が向いているかがおおよそは分かってくると思います。ある程度の学力があって、レベルの高い高校を受験したいと考える人は、多人数で学力がある程度揃った人たちと競い合ったほうが、より学力がつくと考えられます。しかしそういう競争には向かない子は個人指導の塾がいいといえます。

高校進学は考えていても学力が伴わない子もいます。その場合は、まず個人のレベルに合わせてくれる塾がいいと言えます。個人指導ばかりでなく、10人前後で教えていても、一人ひとりのレベルに合わせて教えてくれる塾もあります。

塾選びを一番迷うのは学力が中程度の子です。この場合、無責任な言い方をすればどの塾でもいいと言えるからです。つまり性格に合えば塾の形態はそれほど問題ではないと言うことです。それだけに塾の選び方を間違って、塾の文句を言ったり転塾することが多いのもこの中間層の子です。

 

塾を知る

では、自分の性格にあった塾を選ぶにはどんな方法があるでしょう。

まず実際塾に通っている人に様子を聞いてみます。その人が喜んで通っているようなら、どんな点がよいか、もし不満があるならそれは何かを聞きます。ただ、子供は「好き」とか「嫌い」とかの主観で判断しますから、ご自分のお子さんにとってはどうなのかが今ひとつ判断できないことがあります。

もっとも分かりやすいのは、体験入塾をしてみることです。その塾の雰囲気が分かります。最近では、常時体験入塾を実施している塾もあります。たいていの場合は無料ですが、有料の場合もあります。どちらが良いとは一概には言えません。また夏期講習などの特別講座に参加してみるのもいいでしょう。塾へ一歩足を踏み入れるだけで、その塾の雰囲気が伝わってくるものです。塾長に会えば、その塾全体にやる気があるかどうかが分かります。先生自身に元気があって熱意があれば合格圏内です。あとはお子さんの性格に合わせて塾のタイプをよく見てください。

児童・生徒の数が減り、塾は過剰傾向にあります。だからこそ塾は自己努力をし、マイカラーを出そうとしています。利用者はそのカラーをよく知り、上手に塾を選びたいものです。